放蕩ドラ息子の布団上の空論

大学生活で何も成し遂げられず、親の脛をかじり続けた世の消費者代表。日々消費したコンテンツの批評、ベッドの上で寝転がりながら思考した愚物を、なんの説得力もない男が投稿していく、お目汚しブログ!知り合いの方は話のネタに。そうでない方は、いつか暇つぶしに。

「ドメカノ」にみる恋愛の醍醐味

f:id:riguvo:20190815002110j:plainドメスティックな彼女なる漫画を読んだのですね。いやはや、大変面白かった。


ほら、皆さんご存知の通り僕ってピュアを体現ような少年時代だったじゃないですか。恋や愛の意味も知らず、胸の高鳴る方へ真摯に突き進める人間じゃないですか。


ですが、僕も最近ちょっぴりビターな大人な経験をしましてね、真っ白なミルクにエスプレッソが溶け込んだ、カフェラテハートの持ち主なんですわ。


そんな僕にぴったりな、ビター味を帯びた恋愛漫画が、ドメスティックな彼女(略称ドメカノ)です。


〜あらすじ〜

小説を書くことが趣味なナツオ君(まるで僕)は、学校教師であるヒナに恋心を抱く純朴爽やかな高校生。チャラ気味高校生に誘われ合コンへ向かうと、そこで不愛想女ルイと出会う。意気投合、会場を抜け出し彼女の家へ。そこで彼女から「私の初めてを奪って」という衝撃発言。ナツオくんもやる気満々。しちゃうんですねぇ。家に帰りふわふわとした気持ちでいると父親から再婚の意向を告げられる。インターホンが鳴り、再婚相手が家を訪ねてくる。するとそこにはヒナとルイの姿が。再婚相手の連れ子で、ヒナとルイはなんと姉妹。そして一つ屋根の下でドキドキハラハラな共同生活が!?


なんとまあ、ありふれた恋愛漫画の冒頭なんでしょうか。いや、面白かったんですよ?ただ、他の恋愛漫画と比べてなにが秀でていたか、そういうのはわからんのですよ。マスターじゃないのでね。


ただ、ちゃんといくつかドメカノが良いなぁと思った大きな点があります。もちろん、僕の基準でね。

その一つは、作者の描きたい恋愛の醍醐味、これが僕の趣向と一致したところですかね。


恋愛の醍醐味、それは心の機微。これに尽きると思います。それをこの作品は描こうとしている。


人間は一定の「理屈」という行動基準に従って、そこに矛盾なく因果を成立させるように行動しています。


空腹、という「原因」があって、○○を食べた、という「結果」があるわけです。その間には、「好み」や、「健康」という行動基準があるわけです。お肉が好きとか、野菜食べなきゃとか。この「理屈」によって○○の部分が埋まってくるわけですね。


基本的にこの繰り返しで、人間は生活しています。でも、たまにありますよね。そろそろ「健康」考えて野菜を食べなきゃいけないのに、どうしても二郎が食いたい!とか。「理屈」よりも一時の欲望と言うべき感情に「結果」が左右される時が。これが人間の面白いところだと思います。行動に一貫性がないこと、感情が理屈を凌駕すること、これが「人間味」であると考えます。


恋愛とは、この「人間味」を存分に解放するイベントだと思っています。


ネタバレなしでは話せないので、サラッと言いますが、4巻くらいで、ヒナとナツオは見事結ばれます。教師と教え子、禁断の恋ですね。こういったところに、その「人間味」は現れます。

ヒナは「大人」であり「教師」であり、そして「姉」である。この役満という状況で、「子供」であり「生徒」であり、そして「弟」であるナツオに惹かれていく。普段は社会集団の中で、自分に割り振られた社会的役割を行動基準として、一貫した結果を出し続けているヒナ。だが、ナツオへの恋心という「感情」だけは、この「理屈」を凌駕して交際関係になるという「結果」を出してしまっています。


ここの感情が理屈を凌駕していく描写。作者もここに恋愛の醍醐味を感じているのか、すごく力を入れているんですね。それがとっても好きです。


しかし!より心の機微が醍醐味になるのは付き合ってからですよね!


付き合うことを続けるって、本当に難しいですよね。なんでかっていうと、それは、人はあらゆる影響を受け続けて生きていくからだと思います。


良くも悪くも、人間の心や考えは、すぐに変わっていきます。極論を言うと、いまの僕と、五分後「親が事故で亡くなった」ことを知った僕、絶対に違う人間なんです。人は、経験の蓄積によって人格を形成していて。恋人と付き合ってから、日が経つにつれ、多くの新たな経験を積み、確実に変化していく。


その中で、恋人への想いに変化を生じさせる経験も多くあるでしょう。自分の知らないところで勝手に経験を積み、勝手に考え、それを言葉にうまくできず...。こうした心の微妙な揺れ動きの中でのすれ違いは、当たり前にあると思うんですよ。そもそも、生きてきた環境が違う二人。男と女。何もかもが違うんですよ。それでも、この心の機微や考えの違いを、どうにか時間と、愛で埋めていく。恋愛とはかくあるべきだと思うんですよ。それがドメカノはとっても描かれている!


そして駄目押しのgoodポイント!これは性的描写がしっかりされていることでありますね。

恋愛感情の根底は性欲です。性欲の発生原因は子孫繁栄という目的です。セックスなしには恋愛は語ることはできません。チューして終わり、じゃねんだわ。


心の機微に向き合い、受け入れ、認め合う。言葉だけではなく、体で。よく言うじゃん、言葉だけじゃなくて行動しろって。セックスってこれの行動の部分だと思ってるんですよ。


そういうの書けないじゃん、少年マンガってさ。かといって青年漫画になってくると、ドロドロした描写多いやん。読んでて疲れるわ。



ザザーッと思いつくことを書いてて、あんまり首尾一貫かもしれないですが、皆さんの大きな「愛」をもって、受け入れてくれたらなと思います。読んでね、ドメカノ。



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